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​周辺情報

​重箱の隅をつつくような

​ことも…

<太陽の女王号>とその作者アンドレ・ノートン女史に関するもろもろの情報を集めてみました。真面目なことから重箱のスミをつつくようなことまでいろいろです。


どうでもいいようなことにあれこれツッコミたくなるのもファン心理のひとつでしょう。これも愛ゆえということでご容赦ください。重要度に応じてクラス分けをしてあります。個人的な価値観に基づいているためあまり当てにはなりませんが、下に行くほど雑談になります。

このほかにも<女王号>にまつわるお話がありましたら、どんなことでもかまいませんのでご一報くださればうれしく思います。

​クラスA​・ちょっとした豆知識

​▼2005年「大宇宙の墓場」の復刻版が刊行 

2005年9月早川書房60周年記念として「大宇宙の墓場」が'72年初版の装丁のまま、復刻版として出版されました。初版が1972年でしたので、33年後の再版です。

さすがに復刻版は印刷がきれいで、松本氏のイラストも鮮明。…ですが、山吹色の帯以外はあまりにも初版に忠実すぎて、あとがきひとつ追加されていなかったのはいささか寂しく、せめて同年3月に著者のアンドレ・ノートン女史が亡くなったことくらいは付け加えて、読者へのサービスをしていただきたかったかなと個人的には思います。


<女王号>シリーズ英語版全7巻と邦訳版2巻の間にはさんで はい、チーズ!

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​▼アンドレ・ノートン女史のサイン

家宝です!(すいません、ちょっと自慢入ってます)
日本からのファンレターは管理人が第一号だったとのことです。つたない英語だったと思いますが、とてもていねいなお返事をいただき感激しました。

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▼作品の世界観がリンクしている

ノートン女史の著作の中には、世界設定をほぼ同じくする場合、別個の作品であってもそこに描かれる異星人や歴史の概念が共通していることがあります。
たとえば1962年の著作に“Eye of the Monster”がありますが、、この作品には「恐怖の疫病宇宙船」のサラリク人が出ているのです。


Humans and the feline Salariki aliens from the second Solar Queen tale, Plague Ship, have set up colonies and trading posts on a world called Ishkur.(amazonのレビューより一部引用)


“Ordeal In Otherwhere ”のフォアランナー(先史文明)といい、ノートン女史もなかなか粋なことをなさる…!
「ゼロ・ストーン」にもコロスやサラリク人が登場しますし、フォアランナーの名も出てきます。嬉しいことに自由貿易業者の記述まで。

ちなみに、ノートン女史が<女王号>ファンに奨励する『自由貿易業者が活躍する作品』は”Moon of Three Rings"です。

▼<女王号>のファンアートがある

サイトの常連のかたから教えていただいたのですが、候補生たちのイラストが見られるサイトがあります。リップをセンターに候補生3人が並んでいるおいしい構図。デインがちゃんと金髪に描かれているのもツボです。
  >>Three of the Solar Queen (by LinART)

 

同じくdeviantARTに上がっているイラストは12人のクルーとシンバッド、クィークスに加え、1巻に登場したコフォートが描かれています。ほとんど写真のよう。どこで撮ってきたんですかと問いたくなるほどです。ただ、コスティとヴァン・ライクのデザインが逆のような…そこが気になっています。
  >>Solar Queen(by Sky-Gypsy)  

 

こちらはpixivにアップされている候補生たちのイラストです。候補生たちの性格がよく出ている上に、デインは成長段階を見ているようで楽しめます。(pixivのIDが必要です)
  >>三候補生イラスト(by仔猫さん)

​クラスB​・ちょっと気になること

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▼リップのセリフが初版と重版では異なる

シリーズ2巻目の"Plague Ship"の邦訳版「恐怖の疫病宇宙船」は、初版と重版以降とでは一部、訳文が違っています。
初版では「別の世界には別の習俗」だったのが、重版のほうは「郷に入って郷に従え」(「恐怖の疫病宇宙船」P10)に変わっています。

 

訳者の小隅氏にうかがったところ、後から意訳に変更したとのことです。(「そんなところまで見ていたの?」とちょっと呆れられたと同時に「ファンとはありがたい」というお言葉を頂戴した管理人でした。)

 

本をお持ちのかたは版を確認してみてください。どちらになっていますか?
ちなみに、原文は“Different worlds, different customs,”(Rlague Ship :p6)です。

 

リップについては一人称が1巻では「ぼく」だったのが、2巻では「おれ」になっているのもツッコミどころ。個人的には「おれ」のイメージです。ただ、一人称は話す相手によって変わるものなので、リップとデインの付き合いがよりラフになったと解釈しています。

▼ヴァン・ライクのスペルが巻によって異なる

これは原書を読まないとわからないことなのですが、巻によってRyckeとRyke、つまり「c」があったりなかったりしています。
 1、2、5巻ではRycke。
 4、6、7巻ではRykeです。
 3巻には登場していないので、3対3で多数決不可。どうしようもありません(笑)。

ちなみにジェリコ船長とヴァン・ライク貨物主任のファーストネームが公開されたのは5巻でした。

▼<女王>号の全長は80M

なにしろ何十年も前のことなので資料がないのですが、’75年のSFマガジン11月号の「鵺グループ天空パビリオン」に誌上展示されたそうです。
 A・バートラム・チャンドラー氏の「銀河辺境シリーズ」は、作者に承認をとって「スタジオぬえ」のかたがたが算出した設定が採用されたそうですが、<女王>号の場合は文章から船の構造を拾い出し人間の標準生活空間などもとに計算したとのことです。

また、その資料とは別に「スペース・ファンタジーの世界」(1978年:エイプリル出版・残念ながら絶版です)に、<女王>号と、1巻でヴァン・ライクによって語られる<ニュー・ホープ>号のイラストが載っています。松本氏のイラストとはまた違ったデザインで、どちらが原作のイメージかはさておき、これを見つけたのはうれしいことです。

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​クラスC​・ちょっとこまかすぎ

​▼ビミョーにずれてます

邦訳されたアンドレ・ノートン女史の作品「崩壊した銀河文明」の解説には少しツッコミたくなる記述があります。
それは、ノートン女史の作品について、故福島正実氏が以下のように書いておられる点です。
 「…宇宙の辺境に冒険とスリルを求めて行く宇宙貿易船の通信士候補生が、太古に死滅した先史文明の謎と対決する物語--宇宙空間で疫病におそわれた宇宙船のティーンエイジャーの隊員たちが、死中に活を求めてもっとも危険な惑星への着陸を刊行する物語--」(「崩壊した銀河文明」:p207)
  
う~ん…これってビミョーに<女王号>からズレてませんか?
・通信士候補生 → 貨物係候補生
・ティーンエイジャー → 確かに若手3人組ですが、2巻の時点でティーンだったのはデイン1人です。(でもまあ、これは仕方ないか。年齢は本編にはっきり書いてないから)
・隊員 → 乗組員または通商員。とにかく商人です
 ・もっとも危険な惑星 → 地球なんですけど…。たしかに着陸したのは危険な放射能汚染地域のビッグバーンのど真ん中でしたが。

 福島氏も当時はおそらく多忙だったので、こんなふうに混ざってしまったんでしょうか。まあ、あまりツッこむ人もなさそうなのでスルーしておきましょうか(笑)。

​▼解説、しっかりしろ!

スルー…と言いつつ、もうひとつツッコミ。
ターゲットは<女王号>シリーズの出版元である早川書房。問題の箇所は<女王号>の邦訳版が刊行された1970年代の早川文庫の目録にあった「恐怖の疫病宇宙船」の解説です。

 『‥交易を終え、地球へ急ぐ<太陽の女王号>内に突如奇妙な病気が発生した。…激しい頭痛、発熱、そして首の後ろの赤い発疹』← をーい、熱は出てませんぜ、ダンナ。自分ちの本の解説まちがっちゃあ、こまりますよ。
 「大宇宙の墓場」の方にも「自由業者は一匹狼」という表現が使われていて、少々気になりました。乗組員12人の主人公集団ですから、ロンリーウルフではないと思いますが?
まあ、細かいことなのでどうでもいいといえばどうでもいいことでして…重箱の隅つつきはこのへんで。

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