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​キャラクター

​個性ゆたかで強者ぞろい

​のクルー

<太陽の女王号>シリーズから、クルーをはじめとする登場人物について簡単にまとめてみました。

「主要人物のタイプと背景については一応考えるが、話がスタートするとあとは登場人物が動き出してくる」と著者が述べているように、<女王号>シリーズはそのストーリーとともに、ドラマを作り上げていくキャラクターの魅力がとても大きいと感じます。

 

トランプのQUEENの数字が12であることに由来してか、初期のクルーは12人です。また、クルーとしてカウントしてもいいような猫のシンバッドと、オウムもどきのクィークスの頭文字をつなげると、SQ、すなわちSOLAR QUEENの頭文字になっています。
5巻でラエル・コフォート、6巻では2匹の猫とトゥーイが加わりますが、おもしろいことに全員女性(と雌猫)なのです。

​6・7巻ではクルーの過去が少しずつ散りばめられていて、興味をそそられました。

 

シリーズ最終巻ではさらにクルーの数が増えます。全員の紹介は無理ですが、主要人物については少しずつ増やしていく予定です。

なお、邦訳されていない3巻以降の名詞などは、英語のままで表記しているものがあります。

​初期クルー(12人と2匹)

​デイン・ソーソン  Dane  Thorson

主人公。外交を含む貨物係の見習い生。
<女王>号の乗組員となったときは最年少のメンバーでした。長身の多い乗組員の中でも、背が高い方です。

 

訓練所を出たばかりで経験値がゼロというコンプレックスをかかえつつ、努力と奮闘を重ねて成長していきます。当初はミスが多く、落ち込むことも多々ありましたが、長く引きずることがなく、悩んでもしょうがないことは一晩寝たら忘れるという、案外さっぱりした性格。

仕事がらみの記憶力は抜群、外交係だけあって、話す・聴くなどの言語能力はもとより、洞察力も鋭く、異星の文化や習性をよく理解し、時には言葉を持たない異生物とのコミュニケーションさえこなします。
痩身のわりに体力もあり、責任感が強く、主人公だけあって「やるなあ!」と感じさせる場面は多々あり、自己評価とは裏腹に、客観的にはじゅうぶんハイスペックといえます。

 

一番下っ端であるがゆえに言いたいことも抑え、なんだかちょっと気弱で慎重そうと思わせておいて、いざという時の機動力が見もの。 愛読者のかたに「のちのジュヴナイルの主人公の原型」と評価されています。

 

ハードなフリートレーダーの世界に身を置いて以降、3回ばかり命を落としかけたくせに、けろっとしているタフガイで、権力には反抗を見せる一方、小さな生き物や弱者には思いっきり優しい、基本的にはマイルドタイプ。

7巻まで読むと、その成長ぶりには目を見張るものがあり、2巻の疫病事件で10階級も降等したものの、7巻ではみごと主任に昇格しています。

​詳しくはこちらにも >>デイン・ソーソンファイル

​リップ・シャノン  Ripley Shannon

パイロット見習い生。

正式名リプレイを名乗ったのは自己紹介のときだけで、その名前で呼ばれたことはありません。


デインより4年ほど先輩の、候補生トリオのよき兄貴。人当たりがやわらかく、上官からはしっかりしていると評価され、年下のメンバーから見れば、頼れるキャプテン候補生です。2巻では切羽詰まった状況下にありながら、船長代行を務め上げました。

 

生まれながらのリーダー気質に加え、主人公をやってもいいような明るく元気な人です。

屈折のない素直な人柄ゆえに、アリに「純真な赤ちゃん」などと冷やかされますが、かくいうアリ自身がとても必要な先輩と認めるほど懐の広い人格者です。

 

まだまだジェリコ船長には及ばないと本人は控えめですが、複雑な航路計算をこなす理系の頭脳と柔軟な思考を合わせ持ち、パイロットとしてもほとんど完成されていて、あとは経験を積み上げていくのみというところまできています。
デインと同じく、2巻で10階級降等処分を受けましたが、6巻で助手を卒業し、7巻で船長になりました。


疫病事件でパトロールに拘束される直前の、「独特の無防備な立ち方」が印象に残る人。クルーの中では唯一の黒人です。

詳しくはこちらにも >>リップ・シャノンファイル

アリ・カミル  Ali  Kamil

エンジニア見習い生。
切れ長の黒い目、ウェーブした黒髪の、いたるところに容貌賛辞が散りばめられた超がつくほど特注のイケメン。

 

優雅なしぐさと相まって、だまって立ってりゃ千両役者…のはずなのですが、実は意外に口数が多く、皮肉屋の上にもってまわった言い方をするので周囲をイラつかせることもしばしば。
腕のほうはチーフのストッツに匹敵するほどで、機械類ならありあわせの材料から、その細い指で何でも即席に作り上げられるという有能さを見せています。
後期シリーズではデインやリップと共に候補生を卒業しました。

子供のころ、火星のクレーター戦争の大虐殺で、家族も友人も失ったという経歴からか、自己の内面をひた隠し、表情に変化を見せません。が、「見るものに最悪の事態を想像させる」嘲笑をうかべる、という凄みがあるいっぽう、ドラマの宇宙ヒーローもののファン(らしい)という妙に笑える側面をもっています。

年齢がデインと一番近いせいか、彼には特に嫌味っぽくからんでいるような印象を受けますが、実は相当な仲間思いであることが7巻でわかります。

​詳しくはこちらにも >>アリ・カミルファイル

ジェリコ船長  Miceal  Jellico

<女王>号船長。
灰色の目、頬に熱線銃の傷跡、顔つきは酷薄、そして2巻の決闘シーン。

軍人の家系であることは後期に判明しますが、初期シリーズの邦訳分を読んだだけだと、おっかなそうな体育会系としか思えません。「口より手が早い」と表記され、部下を動かすより自分が前に出る傾向も見えます。

しかし、クルー思いのよき「おやじ(Old Man)」であり、皆の信頼も厚い、いわゆるカリスマ性のあるタイプです。

宇宙船はもとより、小型艇の操縦も星間パトロールを凌ぐ腕前(意外にも操縦はソフト)である一方、異星の言語もけっこうこなし、宇宙生物学に造詣が深い知性派でもあります。松本氏の挿絵はかっこいいんですが、あのイラストよりはずっと若く、熟練してはいても老船長ではありません。

3巻以降は笑顔も見せるようになり、巻が進むにつれ温厚になったといいますか、丸くなったという印象です。

後期シリーズでこの船長が結婚してしまうとは、「業界を引退して海草養殖をやる」(2巻)と宣言する以上に想像がつかない展開でした。実はラブシーンもあるのです。

J・ヴァン・ライク  Jan Van Ryke

貨物主任。ジェリコ船長のよき相棒。
船長とは対照的におだやかで、どこかの大企業の重役で通りそうなタイプ…なんですが、直球勝負の船長と違ってかなり喰えない人。ナンバー2は影の黒幕…もとい、<女王>の参謀です。舌先三寸と卓越した記憶力で交渉をさばいていく切れ者です。

内心は不明ですが、何があってもうろたえるということがない、常におそろしいほど落ち着きはらった人物です。

デイン・ソーソンにとっては直属の上司なので、かれにとってはある意味、ジェリコよりこの人のほうがおっかないかもしれません。とはいえ、厳しくもあたたかい目で部下を見守ってくれています。その教育と自身の努力によって一人前になっていくデインですが、まだ精神面でヴァンを頼ってしまいがちなこともちらほら見えています。主任の存在は大きいということでしょう。

 

ことがうまく運んでいるときに口笛を吹くクセがありますが、これ、どうやら部下に伝染しているようです。

スティーン・ウィルコックス Steen  Wilcox

航宙士。上記の2人と並ぶ<女王>の幹部。

3人の中では1番若いようですが、キャリアは調査局勤務を含めて、2巻の時点ですでに15年ほどだそうです。1巻で先発隊の指揮をとりましたが、それ以外では残念ながら活躍と呼べるような出番はありません。

 

趣味は航路計算の数式を音楽に置き換える(数の属性は音階にも内在するとか)こと。
どことなく紳士的な印象を与える人なので温厚かと思いきや、興が乗るとあのジェリコ船長の背中をどやしつけるという猛者っぷりも。
スコットランド生まれなので、民族楽器のバグパイプを所持しており、それが6巻で思わぬ役に立ちます。

​タング・ヤー  Tang  Ya

通信技師。<女王>号のなかでは少数派の小柄なメンバー。

 

通信士だけに無駄を省いた口調で、デインと船内で初めて顔を合わせたときも゛New?”(新人か?)のひとことだけだったという、淡白な会話をする人。

 

後期シリーズでは、このときよりは台詞は多くなっています。役職上、船でお留守番ばっかりなのが残念ですが、通信のプロとして裏技を用いて妨害電波を突き破ったり、コンピューターのデータ復元に取り組むなど、技術屋の腕をいかんなく発揮しています。自作の暗号解読ソフトを『シャーロック』と名づけるあたり、なかなかお茶目な人かもしれません。
電子工学のミニチュアおもちゃ作りを趣味とし、絵もうまいという多才なクルーです。

​ヨハン・ストッツ  Johan  Stotz

天才チーフエンジニア。
あの偏屈なアリの上司ですので、さぞかしたいへんだろうと思いきや、無口でクールでエンジン以外に興味がなく、旧式エンジンの挑戦に応えるべく、姥桜の<女王>号に乗り込んでいるという変わり者です。


ひとことでいうなら「エンジンおたく」。それだけに船への愛着も人一倍の人です。
複雑な立体図面を見ながら仕事をこなす「超」がつくほどの技術屋ですが、6巻では意外とつき合いのいい面も見せました。そのさいの意外な特技が無重力ラグビー。ほとんど重力のない環境に慣れ親しんだトゥーイと追いかけっこをしても負けない身のこなしであることが証明されています。

デインから見るとヴァン・ライク並みのヴェテランかと感じさせる風格をそなえているようですが、実はまだ若く、それもリップとそれほど歳が離れていないようで、だとすると、かなり早い時期からチーフを務めていたことになります。
2巻の「ゴープ狩り」で、若武者として選ばれるべき4人目は、ウィークスでなくこの人だったのですが…。それが口惜しかったのか(笑)、7巻でクルーを2分したときは若手チームに入り(ねじ込み?)ました。

​カール・コスティ  Karl Kosti

エンジニア。
熊のような大男。総身に知恵がナントカ…などといわれていますが、1巻の活躍は鮮やかな印象を残すはずです。見た目は豪傑、でも気は優しくて力持ち、のイメージです。自身も口は重そうですが、6巻に出てくるおしゃべりな異星人より口数が少ない種族のほうが好みだそうです。

クルーのなかでは年長組だと思われますが、案外カッとしやすいのか喧嘩っ早い側面があります。

高い所とfree fall(ロケットなどの自由落下)が苦手とのこと。

​ジャスパー・ウィークス  Jaspar  Weeks

エンジニア。オイル担当。
コスティとは対照的に小柄で色白の金星出身者。実年齢より若く見えるらしいですが、それでトクしているかどうか…。おとなしい、というより和み系のおだやかな人です。とはいえ、そこはやはりフリートレーダーですので、必要とあれば戦闘も辞しません。


木工細工のような彫刻が趣味で、金星や地球の生物をリアルに、しかし芸術的に彫り上げています。

カタカナで表記すると、船長のペットの「クィークス」と混同しそうなので、両者が活躍する2巻は特に気をつけて読まないといけません。

2巻はもとより、6・7巻でもデイン、アリ、リップの3人と行動を共にしていることが多く、けっこう出番の多いクルーです。
疫病事件で若手3人と同じく10階級降等をくらったのか、後期シリーズではかれもapprenticeと書かれています。

​フランク・ムラ  Frank  Mura

料理及び会計担当。
調理にかかわる水耕場の管理はもとより、フリートレーダーという職業上、その分野オンリーの担当で終わることなく、1巻では立ち回りもやってのけており、小柄ながら格闘技(柔術?)の達人らしいことをにおわせています。また、なかなかの策士でもあります。

しかしどちらかといえば保守派で、停泊中の船から出ることもあまりありません。
海に沈んでしまったとされる伝説の国の民族=日本人の子孫ということなので、日本人としてはついひいきしたくなります。
マーク・ネルソン氏による朗読版の発音は「ムラ」でなく「ミュラ」に聞こえます。

​クレイグ・タウ Craig   Tau

船医。
医者といっても意外に若く、1巻ではまだ30そこそこ。ノートン女史のお気に入りキャラということで、そうそうに疫病に倒れて役立たずに終わった2巻を除けば、全般に出番が多い人です。特に3巻の主役はタウと言ってもいいほどの活躍を見せています。

 

動物から異星人まで診るという守備範囲の広さから推察するに、けっこう有能な医師なのかもしれません。ソフトな人あたりで、クルーの精神面のケアも受け持つカウンセラー役、つまるところ保健室の先生のような立場をつとめることもあり、恋愛相談にのることも。

 

ただし、趣味が「魔術のコレクション」というヘンな医者。さすがにご祈祷で治療はしませんが、じっさいのところ、魔術の腕前はなかなかのものです。反面、文明の利器・飛翔艇の操縦はかなりヘタクソらしいです。

クィークス Queex

ジェリコ船長のキャビンに飼われているカニとオウムとガマが合体したような生きもの。

宝島のシルバー船長のオウムのイメージかと思いきや、つばを引っかけるというリャマのような習性をもっていて、デインいわく「かわいげのないイキモノ」だそうで─。

 

2巻ではペットの域を越えて、害獣退治のヒーローと言っていいほどの役目を果たしました。

シンバッド  Sinbad

異郷の地から船内に潜りこむ害獣退治用に飼われているトラ縞の雄猫。

 

日本人の感覚で言うと「シンドバッド」と言いたいところで、実際そう呼んでかまわないと思います。
もともとはヴァン・ライクの部屋が主な寝床だったようですが、デインが乗り込んでからは、かれのキャビンがお気に入りになったらしく、寝棚を占領することもしばしば。


 <女王>号のクルーとしてはシンバッドの方が先輩であるがゆえに、引っかかれても文句を言わず、しっぽを踏んだらあやまっているデイン・ソーソンだったりします。

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​追加クルー(5巻以降に塔乗)

ラエル・コフォート Rael Cofort

内科医。
赤毛を編んでアップにしている小柄な美人。恋愛感情ではないけれど、デイン・ソーソンの頬をポッと染めさせたりした、自称「ちょっと年上のお姉さん」です。
5巻から<女王>号に乗り込んだ、最初の(厳密に言うと2番目の)女性乗組員です。貿易業界に身をおくだけに、なかなか肝はすわっていますが、心優しい女性であり、涙もろい一面も見せています。

1巻に登場した幸運の伝説をもつ通商員ティーグ・コフォートの妹。ただし、half-blood、すなわち片親が異なるとのことです。
親の財産が相当あったらしく、6巻で船一隻を買い取って、それを持参金にジェリコ船長と結婚してしまった、早い話が押しかけ女房でございます。

アルファとオメガ  Alpha & Omega

宇宙空間に遺棄されていた宇宙船で生き残っていたところをデインに発見された雌の猫たち。

親子らしく、そっくりなのでどっちがどっちか区別がつきにくい…というのは見る目のないタウの言い訳。

彼女たちの生存が遺棄された船の謎を解く手がかりになりました。
猫好きの貨物係はもちろん、クルーのみんなに可愛がられています。

トゥーイ  Tooe

貨物係見習い生・デインのそのまた見習い?の立場。


地球人ではなく、1巻にも登場したリゲル人の種族。とはいっても混血で、血統を重んじるリゲル人からははみ出し者の立場にあります。法的には成人ですが、まだ少女と言っていい19歳。

青い肌に黄色の大きな目。体は小さく、長身のデインの肘あたりまでしかないということなので、130センチあるかないかといったところでしょう。しかし身体能力は高く、環境に合わせて、よりタフになれる身体構造の持ち主です。

 

人工居住地エクスチェンジで、身寄りのない仲間たちと暮らしていましたが、通商員になりたいという夢があり、停泊中の<女王>号に密航。宇宙空間に出る前に発見され、その後デインが後見を申し出てくれたおかげで、かれの下に就くことになった幸運な女の子です。

 

彼女に対するデインの評価は高く、のみ込みの速い天才型ということですが、それもデインという優しく理解ある上司あればこそでしょう。読んでいると妬けるほどの後輩思い。
強気だけれど声はフルートのようで、性格もとてもかわいい子。地球人の食べ物の中では、お米とニンジンが好きだそうです。

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​その他の登場人物

インターソーラー社  the  Inter-Solar

いくつもの星間航路を保有する大企業。その社員は貿易界の花形と呼ばれています。
が、密輸に手を出したり、強引に取引きに割り込むなど、何かと<女王>号のクルーとは摩擦が多い企業です。
 訓練所でやたら親のコネをひけらかしていた、デインの同僚アルトゥール・サンズが就職した企業だけに、敷かれた出世街道をただ突き進むだけの社員が多いようで、悪どいわりには詰めが甘く、いまひとつ抜けているという印象はぬぐえません。


とりわけアリ・カミルにとってはひどく気に入らない相手らしく、蔑称で呼びつつ、<女王>号に災厄がふりかかったときは、その陰にインターあり、と決めつけています。

コフォート  Teague  Cofort

フリートレーダーとして成功を収めた伝説のプリンス、貿易業界の有名人にしてラエル・コフォートの男きょうだい。


1巻でほんの少し登場し、その後、間をあけて5巻からふたたびその名が登場するようになります。
 一攫千金を当てたのなら、貿易業界にいる必要などないだろうにと思うのですが、トレーダー稼業を続けているようです。
複数の船を所有し、クルーも何人かかかえているようなので、けっこうな実業家なのかもしれません。おしゃれさんなのか、片耳にイヤリングをしています(片方を落としただけかもしれないという説アリ)。

ホーヴァン医師  Medic  Hovan

2巻でデイン・ソーソンにほぼ誘拐という形で強制連行された地球の辺境に住む医師。
しかし、ただの町医者でなく、意外に医師会などでは顔がききそうな実力者かもしれないことをほのめかしています。


四面楚歌の<女王>号を、積極的に支援してくれた唯一の味方で、外見もかっこよさそうですが、中身も素敵なミドルエイジのオジサマ。トレーダー志願の男の子のお父さんでもあります。

ちなみにかれが発した医師仲間のときの声「プロ ボノ プブリコ」は、未来言語ではなく、「公共の利益のための無料奉仕」を指す言葉で、「プロボノ」と略されることが一般的になっているとのことです。(サイトのお客様から教えていただきました。ありがとうございます)

マーク・ネルソン氏による朗読版のしぶいホーヴァン先生の声は、一度聞く価値ありです。

アサキ  Asaki

3巻の舞台・未開のアフリカをイメージしたような惑星Khatka(カカ)のチーフレンジャー。身分的にはかなり上の人間のようです。
かれをはじめ、この星の住民は青みがかった黒-カラスの濡れ羽色のような肌の人々。肌の色が黒ければ黒いほど社会的地位が高い、という現代社会を皮肉った設定になっています。
ジェリコ船長とは異星生物学を通じての交友関係にある、プロポーションのかっこいい人です。

ランブリロ Lumbrilo

惑星Khatkaの小柄で痩せたまじない師。
不穏な動きをAsakiに気づかれ、Asakiが招いたタウと魔術対決をします。マジックというよりは催眠術によるイリュージョンという感じですが、作りだす幻術そのままに執念深く陰湿な性格のようです。

メシュラー  Ranger  Meshler

4巻の舞台、極寒の星トルウスワールドのレンジャー。
物語の中盤からデイン、タウと行動を共にします。
日本でいうなら駐在さんのような存在で、移民の保有地の範囲や顔・家族構成まで熟知している地元密着型の監視員です。

 

飛翔艇の操縦もうまく、有能で人情家…なんですが、なんとなく印象がよろしくない。
大胆だけれど無鉄砲、思いやりの心は地元にのみ向けられているという感は否めません。わが身大事さにbrachの要求に対して、デインにてきとうな返事をするよう促したりしたところもマイナスイメージです。
基本的にはいい人…のはずなんですが。

Vegan  Trosti

銀河系において数多くの逸話を残す実業家として、名前のみ4巻に登場します。
かれの支援を受けた事業や投資した探検はどれも成功をおさめ、その利潤は、かれに見込まれた幸運な惑星の基盤を築くことにつぎ込まれたとのこと。
 

銀河の棲息地を駆け抜けていったかれは、その手が触れた異界に数々の変革を残し去る「彗星」と称えられ、それは地球人に「黄金の寄港」と呼ばれたほどだそうです。
多くの星界で、英雄─あるいは半ば神扱いされていますが、その生涯の終局は謎となっています。

the  brach

固有名詞でなく、4巻で郵便業務についていた<女王>号に積荷として預けられたゼコー原産の犬(猫のほうが近いかもしれません)のような生物を指します。


つがいの2匹とその間に生まれた仔2匹は、デインのニセ者が船に持ち込んだ物質の影響を受けて高い知性を持つなどの突然変異を起こします。うち、雄の親がデインと行動を共にするのですが、出会って間もないデインの優しさと誠実さに信頼を寄せていきます。

しかし人類の範疇にも入らず、動物ともいえなくなってしまったかれらが、今後どういう位置づけになって生きて行くのかと、のちにデインは憂えているのでした。

Nunku

6巻の舞台となる宇宙の人工棲息地<エクスチェンジ>の中心、スラム化した「回転軸」と呼ばれる区域に住む多種族にわたる少年少女のリーダー。


もともとは地球系の生まれらしいのですが、ある日突然トレーダーだった両親と生き別れたために自分の身元がわからず模索しているようです。

重力がほとんどない区域で成長期を過ごしたことから、骨を形成するカルシウムなどは致命的なほどの数値で、頭部が大きくひょろひょろした外見をしていますが、おそらくはデインたちとさほど齢の違わない若い女性と思われます。(リップとちょっといい雰囲気になっていた印象)
話す言葉は古典的な文語なのに、コンピューターに強く、おそろしく凄腕のハッカーです。

Flyndik

人口棲息地<エクスチェンジ>の貿易管理局の代表者。しかしその陰では…

 

<エクスチェンジ>に住む3種族(地球人・カンドイド人・Shver人)にその名声は知れわたっており、オフィスはホロブラフを駆使した庭園になっています。
名前の響きはカンドイド人のものですが、もともとはFlin Von Dieckという名を持つ地球人でした。生体工学によって、かれらのように甲殻に被われた体になり、数百歳もの年齢に達しているようです。
カンドイズ人同様、微重力からゼロ重力の階層に滞在することが多く、おそらくはもう地球の重力には耐えられない身と思われます。

​Captain-Legate   Ross

地球の大使を兼任するパトロールの提督。
4年ほどの周期で任期交代があるはずが、転任の希望が通らず、16年もの間この役職を勤めています。

 

タウの診たてでは、生来うつの素因があったところに、地球人にとってはなじみにくい環境のエクスチェンジに長く居ることで、この棲息地に対して不干渉になってしまったとのこと。
しかし6巻の最後には奮起します。

​Lossin

<アリアドネ>のクルー。

HespridⅣに残ってエスペライトの採掘にあたっていたため船には乗っておらず、Flindikの一味からの襲撃を逃れたひとり。

毛に覆われた背の高いTath人で、リーダーではないがデインたちとの交渉を担当したり案内役を務めている。

感情の起伏があまりなく淡々とした印象の人物です。

​Floater

惑星HespridⅣの土着生物。雲のようにふわふわ浮かんでいるため、そう呼ばれました。

リボン状の触手を持ち、それに触れた<アリアドネ>のクルーが何人か命を落としています。太陽が出ているときに現れるため、デインたちは陽のあるうちは行動できません。

ヒトを襲う恐ろしい生物かと思いきや、実はかれらにはコミュニケーション能力があり、ある運命を受け入れていました。
 

​Dr.  Siere

6巻で<女王>号に宇宙空間で発見された船<アリアドネ>号の一員。7巻で具合の悪くなったトゥーイを診てくれたドクターです。 

2巻に登場したサラリク人とは特に関係はないようですが、同じような猫科で銀色の長い尾を持つ優雅な異星人です。

英語のsの発音に特徴があるためセリフを見つけやすいせいもあって、特に登場場面が多いわけでもない妙に印象に残るキャラクター。ちなみに性別は男性です。

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